前回記事でパワーのあるボール定義について見直してみました!そして相手が予測した以上に伸びるボールを打つ事がパワーのあるボールに必要不可欠な要素であることも確認しました。
まだ読まれてない方はお先にこちらをどうぞ!
パワーのあるボール=伸びのあるボール
パワーのあるボールを打つことで、ある時は相手を押し込みラリーの主導権を握ることが出来、ある時はそのままコートに刺さってエースでポイントを取る事が出来ます。
トッププロの練習動画を見ると、非常に伸びのあるボールをいとも簡単そうに打っています。下記動画のモンフィスは、試合ではコートカバー力を生かすためにほとんど速いボールを打たないのですが、トップ10にも負けないパワーボールを打ちます。
さて、パワーのあるボール=伸びのあるボールを打つというテーマを考察する上で、まず念頭に入れなければいけないポイントがあります。
それは「ボールの減速率」です。テニスのショットは例外なく減速します。手元で放たれたボールが速度そのまま前方向へのパワーを持ったまま相手の元に到達することはあり得ないのです。
ちなみに、ボール速度の変化は下記のようになります。
まずボールは打球されてから速度をあげます。その後、①ネットを超えたあたりで最高速度に達します。またネットを超えたあたりから②ボール内部の気圧変化とボール自体の空気抵抗によりテニスボールは減速し始め、地面方向へのべクトルが大きくなります。そして③ボールが摩擦抵抗を受ける地面に着く時が最も減速し、バウンドして相手コート奥に飛んでいきます。
つまりテニスショットのボールの速度は、3段階変化するタイミングがあります。
そのためシンプルに早いと言われるボールを打つためには、
- ①初速が上がるラケット
- ②ボールの気圧変化でボールを落とす
- ③バウンド時の減速率を下げる
を考える必要があります。
無意識に体感速度を減速ありきで予測している?
「ボールは速くないのに、スライスが伸びてきて返しづらい」
これは誰しもが経験のあることだと思います。サーブやストロークは難なく返せるのに、スライスを返球するのが苦手というケース。
ちなみにボールの体感速度ですが、人は無意識に減速も考慮して体感速度を予測しています。言い換えれば経験的に、無意識にボールは失速する事を考慮して予測をしているのです。だから初速とバウンド時の速度差が少ないスライスはボールが伸びてきているように感じてしまうのです。
お馴染み、ラフィノさんの動画ですが、鈴木貴男プロのスライスの伸びがすごいので見てください!
減速率を軽減し、初速と相手の手元の速度差を縮めることで相手に伸びるボールと感じさせることが出来ます。そのためスライスだけでなく、スピンのしっかり効いた中ロブ系のボールも伸びるボールと感じさせやすいでしょう。
減速前にボールを飛ばしきる
ただ、スライスも中ロブもどちらも試合の主導権を握りに行く攻撃的ショットではありません。私たちが求めるパワーのあるショットとはまた別の方向性のショットだとわかります。つまり攻撃的なショットに関しては、減速を軽減するのみでは不十分であるという事です。
そこで、再度3段階変化するタイミングを確認してみました。
「普通のボールがネットを超えたあたりで最高速度を迎える」…?ならば、サービスラインを超えるあたりでボールが最高速度を迎えそれがコートに入るのならば、これが最もボールが伸びる方法なんじゃないかと。
結果、上記条件を満たすボールは下記2項目に絞られます。
- 特大アウトをしかねないボールをスピンでねじ込む
- 速くて低い弾道のボールを最小限のスピンで入れる
伸びるボールを打てるラケット
①特大アウトをしかねないボールをスピンでねじ込むに関しては、ピュアドライブのようなボールが飛ぶ黄金スペックかつ、スピンの引掛かりが良いモデルが当てはまります。フレームでボールを出来る限り飛ばし、その前方向のエネルギーを保ったままボールを入れることで実現できます。
一方の、②速くて低い弾道のボールを最小限のスピンで入れるに関しては、重量がある薄いモデルの中で弾きがいいモデルが該当するという事がわかります。中厚ラケットまでのパワーはありませんが重量のメリットとフレームの弾きで、力学的エネルギーを前方向に集中させてボールを飛ばします。
次回記事では、①と②の条件別・プレイヤー別に、どういうラケット選べばいいかについて考察します。
以上、パワーのあるボールを打つために!ラケットに求める条件!でした。
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